パイロット ジャスタス95 (PILOT Justus95 FJ-3MR )

すっごい気になっていた万年筆、ジャスタス95
やっと購入したので早速記事にしました。


ジャスタス!


購入は店頭ではなく通販サイトで購入しました。
文虫は国産メーカーの品質管理の高さから国産万年筆は製品個体差が
少ないと感じており、最近はパイロットの樹脂軸等については通販で購入する機会が
増えています。

一方、文虫のささやかな貢献活動として、欲しい文具の在庫が店頭にある場合は、
なるべく店頭で買うようにしています。

店員さんとのやりとりや友人と一緒に店頭であーだこーだ言いながらの
ウインドウショッピングも文化だと思っているので・・・

さて本題。

パイロットから発売されたジャスタス95。
1979年に発売されたジャスタスの復刻版として2013年3月20日に発売。

95というのはPILOT設立95周年を意味している。

仕様も復刻するにあたって大きく変わっていて、実質フルモデルチェンジと言えます。

勿論ペン先の弾力を調整できるというコンセプトが中心にあり、そこは変わっていません。

私は旧ジャスタスを使用した事は無いのですが、このギミックに強い魅力を感じていました。
そして是非、このギミックを体験してみたいとの思いが募って購入に至りました。

選んだペン先はFM。

パイロットのペン先のFは細すぎると感じてのFM。



FMでも結構細いです
FMを選択したのは正解でした。

失礼ながら少々、ジャスタスをネタ万年筆という目線で見ていましたが、そんなことはなかった!
少なくとも私(文虫)にとってはとても使い勝手が良かった。

どう良いのかを書く前に、まず外観から見ていきたいと思います。


カスタム845(右)とジャスタス95(左)


サイズとしては手元にあった845と比較してもほぼ同じで、持った時の重さもほぼ同じ。
結構立派な外観です。デザインも同じベスト型ですがジャスタス95のほうが両端むかって
Rがかかっており、絞られたグラマラスな印象です。



オシャレクリップ


クリップの外観もカスタム系とは異なります。パイロットのカスタムシリーズといえば
クリップは金玉クリップですが、ジャスタスは写真の通り剣型。

ジャケットの胸ポケットに挿した際、金玉クリップだと「お父さん」感が凄いですが
こちらだとスマートな印象になります。

船来品の生地やデザインとも相性が良い。
日本的なモダンらしさではないでしょうか?

2重リング


キャップリングもカスタムシリーズのような2重リング。
製品名には高級ラインのように墨入れされています。 
JUSTUS95の文字が誇らしげですね。



ネットブラックの模様


キャップリングの写真でもわかるかと思いますが、このジャスタスはネットブラックという
装飾パターンが施されたタイプで、他にもストライプブラックというパターンが用意されています。

個人の好みですが遠めから見た際、ネットブラックのほうが精密感が感じられたので
ネットブラックを選択しました。

この装飾パターンですがエンジンターンという技法を使っているそうです。
元は航空機の外板なんかに施されていたもので、レシプロ機の外板に施されている
写真や映像を見たことがある方もいるのではないでしょうか?

最近でも色々な小物に施された物がありますが、文虫はどちらかというとトラックの
イメージがあります(笑) あと子供の頃見たビックリマンのキラカード!



特徴的なニブ


ジャスタスといえばこの特徴的なニブ。
ニブ上面のコントロールプレートが前後する事によってニブのしなりを制御
弾力に変化が生まれ、書き味に影響を与えます。

プレートが前にでれば書き味は硬くなり、後退すれば柔らかくなるというもの。


ではでは楽しみにしていた書き味について・・・

選んだのはFM

パイロットのFは、小さなメモ帳に漢字を記入するとかでない限り少々
細すぎると感じていました。

割と大柄なジャスタスを出先で小さなメモ帳に書き込む状況はややアンバランス
大半は机上での使用でしょうから、ノートや大きめのメモ帳に書く事が多いと踏んでの
FMという選択です。

もちろんFでもジャスタスの楽しさは得られるでしょうが、Fはやはりペンポイントのイリジウムが
小さすぎて、サリサリ感が強くなりがちです。また、いくらソフト側に振ってもフォルカンのような
柔らかさになるわけではない・・・

もし、Fで「しなり」を活用しようとすると、強めの筆圧が必要になり
Fのペンポイントだと細すぎて紙へのストレスが大きい気がしました。

よって文虫的には
・小さな漢字をぎっしり書くなら別途、細字万年筆を用意したほうが良いのでは?
・柔らかい書き味を楽しみたいなら別途ソフト系万年筆を用意したほうが良いのでは?

というのが第一印象。


試しに一番柔らかくした状態、中間、一番硬くした状態で書いてみました。


弾力の違いによる字の印象の変化

できるだけペンに加える筆圧を変えずに書いたつもりです。

・「ソフト」の状態はニブはしなり、くスリットが大きく開き、インクも潤沢に紙面にのります
ただいくらソフトといってもフォルカンのような柔らかさではありませんでした。
ちょっと想像してた柔らさではありません。
あくまで一般的な万年筆の中での「柔らかい」部類といった所。

・「中」は当然ながらソフトよりもやや硬くなります。
しかしなめらかさがあり、自然な筆記感が得られました。
良いですよ。

・「ハード」は更に硬いです。
しかしこれも言うほど硬くありません。スチールニブ
一歩手前といった具合。しかしイメージとして感覚と実際の書き出しのレスポンスは最も良い。

是非実際手にとって試してみて下さい。

書き味をハードにすれば、インクフローも絞られて意外と細字での筆記ができますし
ソフトに振ればインクフローも増大し、滑らかな筆記感と柔らかい弾力を存分に味わえます。

この使い分けは思った以上に便利で、プレートがインクフローの調整弁的な
役割こなすので、書く紙質に合わせてや柔らかくしたり、硬くしたり調節ができるのです!

たとえばヒゲが良く出る紙質の場合ハードにするとヒゲが抑える効果がありました。
万年筆向きの良質な紙の場合はソフトに振る事で、書く楽しさとインクの陰影を
満喫する事が出来るのです!

ペン先の弾力調整ギミックばかりに目がいってましたが、カバーできる紙質の幅が広い
という大きなメリットがあります!これは普段使いする万年筆としては心強い。

ありませんか?愛用の万年筆が出先で用意された紙を使用したら
悲惨な事になった経験。


ちょっと脱線

筆記感の捕らえ方について

実は万年筆の筆記感について思うところがあります。
私は学生時代、音響の勉強をした事があるのですが(映像音響処理技術者試験)
その中に音のADSRというものがありました。
それは一個の音には音の発生から消滅までに以下の要素

・Attack(立ち上がり)
・Decay(減衰)
・Sustain(減衰後の保持)
・Release(余韻)


という4つの要素があるのです。
このエンベロープは筆記感においても同じ事がいえるのではないかと感じています。

え?どうでも良い?


じゃ・・・じゃあ、これはまた別に機会に・・・



シンプルモダンなデザイン

上面から見たジャスタスのニブはなんともシンプルであり、またどこかフォーマルであり
モダンで素敵なデザインではないでしょうか?10号ニブという事もあって
派手過ぎないバランスのとれた迫力もあります。


分解


通常分解をした所です。
カートリッジとコンバーター両用タイプの一般的な構成。
ジャスタスにはCON-70が標準で付属しますのでインクがあれば直ぐに吸入して用できます。

インクははエーデルシュタインのタンザナイトを吸わせて書きました。
もちろんこの時点でメーカー保障外です(笑)

この万年筆ルールはなんとか進化しないかな?
車もメーカー純正のエンジンオイル使わなかったら保障外なんて事は
特別な車以外は言われない様に。

規格を設けて一定の規格(粘土やpH等々)をクリアしたインクであれば
社外であっても保障対象にしてあげるとか?

色々と大人の事情があるのでしょう。


最高の2本目

まとめ
この万年筆は買い。

ネタ万年筆なんかではないです。
もちろん個体差による不確定要素はあります。

定価31,500円と比較的高価ですが是非普段使いの万年筆として利用してみて下さい。

実用万年筆としては最高の部類かと思います。最初の一本目として買えば
「良い万年筆とはこういう事?」なんて国産メーカーの良さと、ニブの弾力の変化による
筆記感の違いを生活を通して体感する事ができるでしょう。

本命の万年筆は、それから選んでからでも遅くはないかと。

一目惚れして先に本命万年筆を買ってしまったなら、2本目として
ジャスタスを購入すれば、とても楽しい万年筆ライフになると思います。

幸せな万年筆ライフを!
文虫でした。


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